歯の豆知識

歯 全 般

歯のはなし

歯は昔『齒』と書きました。正面から見た顔には鼻があり、口があり、その中に上下の歯が並んでいる、という形を表現している漢字のようです。

読み方は「は」、または「し」、です。年齢とともに変化がはっきりと見えるために、別に「よわい」と読み、齢と同じく、とし、年齢を表します。「よわいす」とは数える、年を数えるということです。

歯徳(しとく)は年齢と徳行

歯序(しじょ)は年齢の順序

歯長(しちょう)は年より

尚歯(しょうし)は老人を尊敬することです。

歯の横にヒ(スプーン)を付けると齔(しん、ちん)と読み、味噌歯(みそっぱ)のことです。すなわち、子供の虫歯で欠けて黒くなった歯のことです。また齔は「いとけなし」、稚し、幼しとも読み、幼児をも意味するようになりました。

齟齬は「そご」と読み、歯のそろわぬことから物事のそろわぬことです。明眸皓歯イメージ 歯が身近なものであるためか、ことわざにもなるほどという感じがでています。
 歯に衣着せぬ つつみかくさず言うこと。
 歯亡び舌存す 剛強なものはかえって早く亡び、柔軟なものが存在すること。老師が曰く、ですが、歯も手入れ次第で長く持ちます。
 明眸皓歯(めいぼうこうし) ひとみが澄んで歯の白い美人の形容。あなたも明眸皓歯になってください。

虫歯とフッ素塗布

歯にフッ素(フッ化物)を塗ると、歯のエナメル質とフッ素イオンが化学的に結合して、歯が酸に対して強くなるので虫歯になりにくくなります。しかし、ワクチンではないので絶対にならないとは言い切れません。また、フッ素を塗るときに泣いたり、動いたり、口を開けないためにきちんと塗れない場合もあります。ですから、フッ素を塗ったからと安心しないで、食べ物や歯磨きにも注意してください。

フッ素に対する害ですが、虫歯予防に使われる範囲では全く害はありません。フッ素は自然界に広く分布していて、海産物など人間が口にする食品の多くに含まれていますので、決して毒物ではありません。また、過去何十年もの間に膨大な調査と研究が行われ、人体に悪影響はないという結論が出ています。

フッ素を塗る年齢ですが、乳歯でも永久歯でも生え始めたら早めに塗ると、虫歯予防にはより効果的です。歯が生え始めた直後は、まだ歯の表面が固まっておらず、フッ素との反応に都合のよい状態になっているからです。ですから、乳歯が生え始めたらすぐに塗ってください。また、フッ素は年2、3回定期的に塗る必要があります。フッ化物に関する詳細はこちらもご参照ください。

なお、池田市保健福祉総合センター豊能町立保健センターでも、1~6歳児を対象にフッ素塗布を行っています。

プラークコントロールって?

『プラーク』とは、虫歯や歯周病(歯槽膿漏)の原因となる細菌の固まりのことで、歯垢とも呼ばれています。これをゼロにすれば、虫歯などにもならないのですが、なかなか完全にゼロにできません。

では、どうしたらいいのでしょうか。細菌が虫歯や歯周病を引き起こすには、ある程度の時間と量が必要です。ですから、その量や時間を病気の原因にならない程度にコントロールすることが必要になります。これが『プラークコントロール』です。具体的には何をすればよいのでしょうか。まず一番に思い浮かべるのは、歯ブラシによるブラッシング(歯磨き)です。「毎朝きちっと磨いているのに虫歯になってしまいました」と言う患者さんが時々いますが、「夜寝る前にはどうですか」と尋ねると「いいえ」という答えが返ってきます。歯磨きをせずに寝るというのは、一日の汚れ(細菌の大好物)を口の中に置いておくことです。真夏の台所に、プラークコントロールイメージ汚れ物を8時間以上そのままにしておくとどうなるか思い浮かべてみてください。
 ブラッシングは何もつけないのが基本ですが、最近はかなり有効な成分を含んだ歯磨き剤も発売されていますし、デンタルフロスや歯間ブラシなどもあります。なかには歯科医や歯科衛生士による、それぞれの方に合った指導が必要なものもありますので、個人でするだけでなく、専門家によるプラークコントロールを受けることもお勧めします。

知覚過敏

歯は表面を硬いエナメル質で覆われていますが、いろいろな原因でエナメル質の奥にある象牙質が露出することがあります。象牙質には知覚があるので、水がしみる、甘いものを食べると痛い、歯ブラシの毛先が歯に当たると痛む、などの症状が出てきます。このような状態を一般に、知覚過敏症と呼びます。

原因としては、①歯ブラシの間違った使い方で、歯の生え際がくさびを打ち込んだようにすり減っている、②長年の上下の歯のかみ合わせによって、歯がすり減ってきている、③歯ぎしりがある、④歯が折れたり欠けたりしている、⑤歯周病がある、などがあります。特に、歯周病の場合、歯周がやせることによって歯根が出てきます。歯根の表面はセメント質で覆われていますが、セメント質は本来もろいので、その奥の象牙質が露出しやすくなります。そのほか、治療で歯を削った後、一時的にしみることもあります。

治療は、●歯ブラシを正しく使い、極端な横磨きはしない、●象牙質表面に薬剤を塗布する、●象牙質表面に詰め物をする、などがあります。知覚過敏イメージ症状があまりに激しい場合には、神経を取ることもあります。象牙質が露出しても歯の防御反応が働くと症状は出ないのですが、ふだんはしみない水がしみる、歯ブラシを当てるとピリピリするなどの症状があれば、歯の危険信号と考えてください。
 外見は、何の異常もないと思われていても、虫歯や歯周病が隠れていることもあります。歯科医に歯の診査や歯の磨き方を確認してもらうことが必要です。

インプラントの治療って?

歯の抜けたところに人工歯根(純チタン)を入れ、その上にセメントで冠を装着すると天然歯と同様の、健全な「そしゃく運動」ができるようになります。

天然歯は、神経も取らず歯も削らない方が長持ちします。インプラントは従来の入れ歯のように、プラスチックの床や止め金が必要なく、両側の健全な歯を削ることなく固定した冠を装着できる治療法です。どんな場合に向いているかというと、

●片側または両側の歯がなく、入れ歯にしても動いてしまってよくかめない、

●奥歯がない、

●前歯が多く抜けている、

●仕事の関係や心理的な面で入れ歯が嫌い、

●事故などで歯は抜けていないがグラグラしている、

●入れ歯で発音や発声に不便を感じる、
などが当てはまります。

インプラント治療は、虫歯あるいは歯牙が破損し抜歯した方には最適ですが、歯周病(歯槽膿漏)で化膿し、次々と抜歯した方には骨質に問題があるので避けた方が無難でしょう。

「かむ」ことの大切さ

最近あごが小さく逆三角形の顔の若者を見かけますがこのような顔の傾向は、東大人類学教室の鈴木尚先生が徳川将軍家の人々の骨をもとに詳細に調査されています。将軍家の人々の顔は、同時代の庶民と比べると、食べ物をかみくだく器官としての上下の顎骨は小さく、かむ力を弱くし、さらに歯並びも不ぞろいで、歯の擦り減りはわずかだったそうです。結果、面長で鼻が高く、顎が小さい、いわゆる現在の逆三角形の顔だったといわれています。

一般に、頭の大きさは、遺伝子的要素が強いのですが、上下のリンゴを噛む女性イメージ顎骨は環境的原因によって影響されます。従って、柔らかくて栄養価に富んだ現在の食品が、徳川家の人々と同様にかむ力を弱め、顎を小さくします。さらに歯が大きくなり、歯の並びが悪くなってしまいます。
 現在、スラッとした逆三角形の顔が目立ちますが、先にお話ししたように歯並びが悪くなりやすく、そうなると歯周病や顎の病気を引き起こすなど、歯の見地からいうとおおいに問題があるのです。

歯のレーザー治療って?

レーザーは放射された光をレンズを用いて一点に絞り込むことにより、金属の加工、外科処置、通信などに用いられます。また、カラオケやレーザー光線によるショーにも使われ、私たちを楽しませてくれます。

歯科では、レーザーメスとして使用すれば、殺菌と血液の凝固をしながら、増殖したり腫れた歯肉を切ることができ、ほとんど出血もしません。

歯の表面のエナメル質に照射すると、虫歯菌の作る酸に強くなり、そこにフッ素を塗ることにより、虫歯の予防になります。初期の虫歯なら、歯を削らずに虫歯菌を殺菌し、歯を酸に強く、硬くすることができます。さらに、そこにフッ素塗布か、光で固まるレジン(硬質のプラスチック)を塗ることで虫歯の進行を止めることができます。

また、歯周病で歯肉から出血したり、膿が出ているようなときも、レーザーの照射で歯周病菌を消毒し、殺菌することが可能で症状を改善することができます。生まれつき歯肉が赤黒く悩んでいる人のメラニン色素の除去はレーザーを使えば可能です。

レーザーはこのように有用なものですが、現在、保険ではレーザーによる歯科の治療は診療報酬には評価されていません。

いずれにしても、レーザーは20世紀最大の発明の一つといわれ、これから歯科の領域においても、ますます使用範囲が増えるものと思われます。

歯医者さんのかかり方

初診の際に、痛みなどの急性症状があるときは、できるだけ電話での予約をお願いします。飛び込みの場合でも治療は受けられますが、お互いゆっくり時間を取ることで、最善の治療が望めます。たった1本の電話で、痛みが少なくなるはずです。それから、保険証はお忘れなく。コピーは当局の指導により不可となっていますので、できるだけ速やかにご提示下さい。

治療に不安、疑問、心配、悩みなどあれば遠慮無く質問してください。聞きにくければスタッフでもかまいません。お互いが納得していれば治療はスムーズに進みますが、少しでも不信感があれば、どんな名医でもヤブ医者になってしまいます。

費用については保険証の提示があれば、虫歯の治療、抜歯、神経の治療など保険の範囲内で何らかの治療は受けられます。しかし、最近は患者さんの負担割合が増えていますので、前歯の大きなブリッジをしたような場合には、保険でも数万円掛かるときがあります。費用はあらかじめご確認ください。

歯について大事なことは、「自分自身の歯は自分で守る」ということです。具体的には毎日の歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、うがい薬、フッ素入り歯磨きなどの使用に加え、定期検診を受けることです。毎日のご自分によるお口のケアがなければ、どんないい治療も無駄になります。
 最後はお願いですが、医者が終了というまでは来院してくださいプラークコントロールイメージ。痛みがなくなったからといって中断すると、ひどい結果が待っています。特に神経の治療が半年も遅れると、歯がボロボロになって抜歯するしか方法がなくなることがあります。歯科治療は痛いというイメージがありますが、歯医者が頑張るだけではだめで、患者さんと共に治療すると考えていただければ、お互いがハッピーになれると思います。

親知らず

歯の治療で、患者さんにとって抜歯が一番大変な事だろうと思います。夜も眠れないほど痛み、苦しめられた『恨み重なる歯』ならともかく、さほど痛んでもいない歯を抜くとなるとなおさらです。しかし、痛みがなくても抜いておいたほうが望ましい場合もあるのです。

智歯(第3大臼歯、親知らずのこと)もその一例です。智歯の周りは筋肉の活動が少ない場所で、食べかすがたまりやすく、比較的早期に虫歯になりやすいという事も一つの理由です。また正常に生え出ている場合はなんら問題はありませんが、特に下あごの智歯は多くの場合、前に傾斜して生えたり、完全に横向きになったりしている事が多いのです(あごの発育が不十分で生え出る場所が少ないため)。このことは、さらに食べかすがたまりやすくなり、智歯ばかりか、隣の第2大臼歯まで虫歯になってしまうことが多いのです。また智歯の周りの組織は雑な構造をしており、食べかすのたまりやすい事とあいまって、大変炎症を起こしやすい場所でもあります。「夜痛みはじめ、次の朝には顔の相が変わるほどはれ、口が開きにくくなったり、唾を飲み込むとのどの奥まで痛い」という、広い範囲に炎症が及ぶのはそのためです。智歯周囲炎といい、おおむね20歳前後に、多くの人が経験します。

これらの事を考え合わせて、正常に生えていない智歯は虫歯、智歯周囲炎になるまでに抜歯をしておいた方が望ましいわけです。

治療中の歯を放置したら・・・

虫歯の治療には、1回で終了する場合と、少し大きく深くなった虫歯については、削ったあとに歯の型を取り、金属で回復させる場合とがあります。歯の型を取り、次に金属を装着するまでに、型を取ったところをゴムやプラスチックなどで仮にふたをします。このまま治療せず放置しておくと、仮のものが徐々になくなり、穴が開いてしまいます。そして、象牙質が露出して食物がつまり易くなり、歯ブラシなどを使用しても取れにくくなり、非常に虫歯が進行しやすい状態になります。しばらくすると、冷たい物、温かい物がしみだし、やがてズキズキと夜間に痛み出します。こうなると神経を抜くしか治療の方法がありません。

神経を抜いた状態で放置しておくと、さらに大変な事になります。最初のころは痛みも取れ、楽な状態になります。しかし、神経を抜いたあと、やはり仮にふたをしますが、このままにしておくと少しずつはずれていきます。そのうち、神経を抜いた穴から細菌感染が起こり、歯の根の部分に膿が溜まってきます。このため、歯が脈打つようにひどく痛み出し、歯の根の部分が腫れ上がってきます。こうなると歯の根の部分を切開して膿を出し、薬を飲まなければなりません。治療中の歯を放置したらイメージまた、たとえ痛みが出ないとしても、神経を抜くために大きく削ってありますので、歯が欠けやすい状態になっており、徐々に歯がなくなり根だけ残ってしまうか、食べ物をかんだときに大きく割れてしまうかして、最終的には抜歯しなくてはならなくなります。もちろん、歯を抜いたまま放置しておくと、さらに色々な障害が出てきます。
 歯には自然治癒がありません。放置すればするほど、症状は重くなり、治療期間も要します。途中で中断することなく、完治するまで受診してください。