
矯正治療
歯列矯正について
◎ あるOLさんからのご相談
「不正咬合(こうごう)と言われたのですが、いつごろから矯正治療を始めるのがよいのでしょうか。」
ケースにもよりますが、一般的に永久歯の生えそろう少し前、小学5年から中学2年生くらいが最適とされています。しかし、いわゆる「受け口」などの方は小学校低学年のころから始める方がよいこともあります。専門医にまず相談されるのがよいでしょう。
「私の場合、20歳を過ぎているのですが歯並びを矯正することはできますか。」
これもケースによりますが、現在ではかなりの年齢でも治療はできます。下顎(したあご)の過成長による外科的な矯正のように、骨の成長が止まってから、すなわち18歳以降でないと治療できないケースもあります。
「治療期間はどれぐらいかかりますか。」
一般的には1年半から3年くらいです。ケースによってはかなり長期間の観察が必要な場合があります。
「健康保険は適用されますか。」
健康保険は、特殊なものを除いては適用されません。ただし、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)が原因の歯列不整の場合、あごの骨の変形症で手術をする場合などは、適用されます。
「治療中に痛みはありますか。」
口の中にいろいろな装置を入れるので、最初のうちはだれでも不快感を感じます。また患者さんによっては軽い痛みを訴える方もいますが、日常生活に差し障ることはありません。
歯の矯正は何故必要なの?
悪い歯並びの問題点を順番にご説明しましょう。
まず1番目は、歯が重なっている所には虫歯ができやすいのです。矯正治療中に、歯のかげに隠れていた虫歯をよく見つけます。
2番目に歯の重なりは、歯が磨きにくいだけでなく、歯周病の大敵でもあります。歯と歯の間に十分な骨量のある正しい歯並びなら歯周病の進行をくい止められても、歯が重なり合った部分には薄い骨しかなくいったん歯周病が始まるとあっという間に垂直的に骨が失われ、歯が抜けてしまうのです。
3番目に、人間はざっと「1日3回×365日×生きる年数」の回数だけ大きな力で食べ物をかみ砕いて食事をします。その際の下あごの複雑な動きを支えているのは、長くて頑丈な根をもつ犬歯(糸切歯)なのです。しかし、八重歯のように上下の犬歯が正しい位置にない場合は、ほかの歯がその大きな横からの力を負担しなければなりません。前歯は見るからに弱そうですし、強そうな奥歯も側方からの力には弱く、20歳代で一番奥の歯が横揺れを起こしている患者さんもいます。
4番目に、悪い歯並びはあごの動きにゆがみを与えたり、あご関節への力の加わり方を変えたりするために、顎関節症原因の一つになることがあります。
5番目には、特に成長期の子どもでは、単なる歯並びの不正の放置が、あごの骨の形の不正へと進んでしまうことがあります。とりわけ、奥歯の左右へのズレは、顔の非対称を生じるので小学校低学年からの治療が不可欠です。
大切な健康と明るい笑顔を正しい歯並びからもらってください。