
小児歯科
小さい子どもさんのお母様へ
子供に歯磨き習慣をつけさせる最も良い方法は、まずお母さん自身が毎食後の歯磨き習慣をつけることです。そうすればお子さんの歯の汚れがとても気になり、自然に磨いてあげられるようになると思います。
いろいろ磨き方が紹介されていますが、要するに、めちゃくちゃ磨きでも汚れが取れてきれいになれば良いということです。
でも実際、毎食後に子供の歯磨きをしようと思ってもそんなになまやさしいものではありません。子供の食事は時間がかかります。早く食べ終わらないかなあといらいらして、やっと磨いたと思ったら今度はおやつ、と放っておいたら一日中何かを口に入れているような状態になってしまいます。
子供が小学生になって、ある程度自分で磨けるようになると、安心して子供任せにしてしまうお母さんがたくさんいらっしゃいます。このころ歯がはえ替わるのですが、ぐらぐらの歯に歯ブラシが当たると痛いので、子供はそこだけとばしますし、大臼歯が半分ぐらい顔を出したときはとても汚れがたまりやすいのです。
毎食後でなくても、せめて夜寝る前だけでもお母さんが磨いてあげてください。フッ素塗布に頼ったり、甘いおやつを全く与えないで虫歯予防をするのではなく、もっと自然な方法でお子さんの歯の健康を守ってあげてください。
歯と歯がくっついている
2本の歯がくっついたようになっているのは、癒合歯といわれるものです。本来、2本に分かれるはずの歯が、顎の中での発生の時点でうまく分離しないまま発育し、2本がくっついてしまったものです。
この場合、歯の神経もくっついているので、分離したりせずにそのまま放置します。しかし、癒合部の溝に食べかすが付きやすく、虫歯になりやすいので注意が必要です。虫歯になると治療が困難です
永久歯の生え方としては、①まったく正常で、2本ちゃんと生える、②同様に癒合歯となる、③1本しか生えてこない、④2本ともない、が考えられます。
さらにここの歯の生えかわる時期や、成長に伴う歯のすき間の問題などがあり、永久歯列にも多少影響が出るかもしれません。
また、永久歯の数が正常であっても、顎よりも歯の幅が大きければ、スペース不足で歯列不正の原因となったり、逆に歯の数が少なくても上下のかみあわせのずれが生じます。
5歳ぐらいになったら、レントゲンで確認するとよいでしょう。歯列不正や咬合異常が気になるようでしたら、矯正などの治療が必要ですが、とにかく今は、虫歯にしないよう食事や歯の磨き方に気を付けてください。
歯が抜けた!
転んで前歯を強く打ち、歯が抜けてしまった時は30分以内に正しく再植すれば、歯を取り囲んでいる歯根膜が再生し、その歯を長く使うことができます。成功率もかなり高いといわれています。
再植を成功させるには、抜けてから歯科医で受診するまでの30分間、抜けた歯が乾燥しないように生理的食塩水(食塩の濃度が約0.9%のもの)か牛乳に漬けておくことが必要です。
もし、30分を超えたり、歯を乾燥させて再植した場合、歯根膜は再生されないで、歯の根が骨に吸収され、数年で抜けてしまうことが多いようです。
再植が不可能な場合、義歯やブリッジ、接着性ブリッジ、インプラントなどの治療で、抜けたところをカバーすることになります。これらは歯並び、かみ合わせの仕方、歯茎や歯を支えている骨の状態、歯磨きの程度、年齢、費用など、いろいろな条件を総合的に診断して選択することになりますので、歯科医とよく相談することが大切です。
指吸いのひどい娘
指吸い自体は、子どものある種、反射的な反応です。母親のおなかにいるとき、胎児は羊水の中におり、それが濁ってきたとき、近くにある指を口に入れるといいます。つまり、指吸い反射が既に起こっているのです。しかし生後、再び欲求のために指吸いを始めたら、次のような有害なことが起こる可能性があります。
有害なこととして、●前歯が出っ歯状になる、●上顎がVの字状になり狭くなる、●上顎が大きくくぼむ、●口の周りの筋肉が低下する、●唇が閉まらない(開口)、口呼吸をする、●アデノイド(扁桃腺がはれて記憶が悪くなる)や異常嚥下癖(飲み込むときに舌が異常な反射をする)、●ら行やさ行の発音障害になる、などが挙げられます。これらは後に不正咬合、さらには目まいや耳鳴り、肩凝りの原因でもある顎関節症に移行していくことがあるので、注意が必要です。
しかし、このようなことは母乳で育った子どもにはあまりみられません。それは母乳を吸っているとき、実際飲んでいるのはわずか5分ぐらいで、後はおしゃぶりの時間だからです。おしゃぶりの際に生じたエネルギーは、顎や歯の発育、ひいては全身の発育に影響しているのです。ほ乳瓶で育てた子どもは、普通の食事になってもかもうとはしません。ほ乳瓶では「吸う」母乳では「かむ」という表現が適当なようです。だからできるだけ歯の生え始めは、母乳によるおしゃぶりで正しいかみ合わせの仕方を覚えさせるのがいいでしょう。